特集 循環器疾患におけるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の新たな展望
トピック 老化におけるRAA系の意義
掲載誌
CARDIAC PRACTICE
Vol.32 No.2 42-47,
2022
著者名
清水 逸平
/
南野 徹
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
循環器
診療科目
循環器内科
媒体
CARDIAC PRACTICE
Key Words
レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系,AT1受容体,老化,活性酸素
レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(renin-angiotensin-aldosterone:RAA)系が個体老化および加齢性疾患の病態に深く関連するというエビデンスが集積されつつある。アンジオテンシンⅡ(AngⅡ),アルドステロンはRAA系のシグナル伝達物質として重要であり,AngⅡ-AT₁受容体,AngⅡ-A₂受容体,アルドステロン-ミネラルコルチコイド受容体(mineralocorticoid receptor:MR)経路を介してさまざまな生理的・病的シグナルが制御される。過剰な活性酸素は老化に伴う負の形質を促進すると広く考えられている。AngⅡ-AT₁受容体シグナルを介して活性酸素レベルが上昇し,心不全,動脈硬化性疾患,糖尿病などの病態が促進すること,同シグナルの抑制に寿命延伸効果があることも報告されている。アルドステロン-MR経路を介しても活性酸素レベルが上昇し,細胞老化が促進する可能性も示唆されている。本稿を通して,老化におけるRAA系の意義について考えてみたいと思う。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。