全文記事
味覚・食欲の評価と各種病態の影響
消化器疾患にみられる味覚・食欲異常
掲載誌
栄養-評価と治療
Vol.27 No.3 33-38,
2010
著者名
佐々木 雅也
/
野口聡子
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
消化器
/
栄養管理
診療科目
消化器内科
/
腫瘍内科
/
放射線科
媒体
栄養-評価と治療
「SUMMARY」味覚や食欲の生理作用において, 消化管は重要な役割を果たしている. したがって, 味覚や食欲の異常は消化器疾患によくみられる症候であるが, その機序は多種多様である. 味覚異常は, 消化器疾患そのものの要因のみならず, 薬剤の使用が原因となることが多い. また食欲異常は, 消化管の通過障害や粘膜障害, さらには機能的な胃排出異常や内圧の異常なども要因となる. 「I はじめに」味覚異常には, 味覚低下(hypogeusia)や味覚消失(ageusia)のほか, 自発性異常味覚(phantogeusia:口の中に何もないのに苦味や甘味などが持続する)や解離性味覚障害(dissociated dysgeusia:甘味, 塩味, 酸味, 苦味の4味質のうち一部がわからない), 味覚倒錯(parageusia:本来と違った味質として感じる), 異味症(heterogeusia), 悪味症(cacogeusia), 味覚過敏(hypergeusia)などがある. 多種多様な疾患の症候として認められるほか, 薬剤や手術など医原性の味覚障害も多い1)2).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。