全文記事
味覚・食欲の評価と各種病態の影響
糖尿病にみられる味覚・食欲異常
掲載誌
栄養-評価と治療
Vol.27 No.3 29-32,
2010
著者名
山本眞由美
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
糖尿病
/
栄養管理
診療科目
一般内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
媒体
栄養-評価と治療
「SUMMARY」糖尿病患者のドライマウスや味覚変化・鈍麻の訴えは, 高血糖による味覚受容体, 神経ネットワーク, 口腔内の変化(唾液分泌低下, 細菌フローラ変化, 舌苔増加, 舌の変化(バーニングマウス症候群), 歯周病)などさまざまな要因が関与している. 糖尿病患者では, 食欲抑制作用をもつインスリンやグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の分泌が低下しているので食欲調節にも変化が現れる. 摂食行動調節物質は今後の治療標的でもある. 「I はじめに」糖尿病は, インスリンの分泌不足とインスリン抵抗性が引き起こす相対的なインスリン作用不足による高血糖状態である. 経験上, 「血糖が高いのに甘いジュースが欲しくて困る」, 「お腹がすいて困る」, 「糖尿病になってから味の好みが変わった」という患者の声をよく聞く. 従来, 糖尿病患者の味覚や食欲の変化は, 高血糖の持続による自律神経機能異常や易感染性による口腔内変化によるものと漠然と考えられていた. しかし, 近年, 詳細なメカニズムが解明されつつあるので, 本稿ではこれらを中心に総述する.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。