特集 新しい細胞死
Ⅱ.生理 1.冬眠と細胞死
掲載誌
The Lipid
Vol.35 No.2 44-49,
2024
著者名
曽根 正光
/
山口 良文
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
The Lipid
Key Words
冬眠
/
低温耐性
/
フェロトーシス
/
ビタミンE
哺乳類のなかには,ヒトには致死的な10℃以下の極端な低体温状態となり長期間生存する冬眠を行う種がいる。冬眠する哺乳類(以後,冬眠哺乳類)が有する極端かつ長期の低体温への耐性の根底には,細胞レベルでの低温耐性がある。これは,冬眠哺乳類から得られた培養細胞は,ヒトなどの細胞に比べ低温環境下で顕著に長く生存することなどから示されている。一方,ヒト細胞株を用いた研究から,低温で誘導される細胞死は,鉄依存的な過酸化脂質の蓄積によって引き起こされるフェロトーシスに類似することが明らかになってきた。本稿では,冬眠哺乳類の細胞が有する低温誘導性フェロトーシスの回避機構について,最近の知見を紹介する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。