特集 新しい細胞死
Ⅰ.基礎 3.リポキシトーシス(鉄非依存的脂質酸化を介した細胞死)
掲載誌
The Lipid
Vol.35 No.2 25-36,
2024
著者名
今井 浩孝
記事体裁
抄録
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特集
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
The Lipid
Key Words
リポキシトーシス
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フェロトーシス
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GPx4
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MEK-ERK
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脂質酸化
脂質酸化依存的な細胞死は,二価鉄を介した脂質酸化による細胞死(フェロトーシス)研究が発見から10年が経ち,非常に大きな発展を遂げている。フェロトーシス誘導薬RSL3がグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPx4)のセレノシステインに結合し,GPx4活性を失活させて細胞死を誘導することと,GPx4ノックアウト(KO)マウスが胚致死となり,GPx4ノックアウト(KO)により細胞死が誘導されることから,同一の細胞死であると考えられてきた。しかし,われわれが樹立したタモキシフェン(TAM)誘導型GPx4 KOマウス胎児線維芽(MEF)細胞では,ゲノム破壊によるGPx4 KO細胞死や脂質酸化が鉄キレーターで抑制されない。また,脂質酸化後の細胞死にかかる時間がフェロトーシス誘導薬による細胞死と全く異なることから,別の細胞死経路も存在しているのではないかと考え解析したところ,鉄を介さず,酵素依存的な脂質酸化を介したゆっくりとした細胞死(リポキシトーシスと名付けた)経路が存在することが明らかとなってきた。本稿では,われわれのリポキシトーシス研究について,フェロトーシスと比較し紹介する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。