特集 核酸医薬の進歩と今後の展望
Ⅱ.臨床応用 1.筋ジストロフィー治療の新時代:核酸医薬によるエクソン・スキップとmRNA治療の新展開
掲載誌
The Lipid
Vol.35 No.1 46-51,
2024
著者名
青木 吉嗣
/
武田 伸一
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
代謝・内分泌
/
神経疾患
診療科目
糖尿病・代謝・内分泌科
/
神経内科
媒体
The Lipid
Key Words
デュシェンヌ型筋ジストロフィー
/
ジストロフィン
/
エクソン・スキップ
/
核酸医薬
/
mRNA医薬
ジストロフィノパチーは,DMD遺伝子の変異が引き起こす筋ジストロフィーの総称であり,なかでもデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は重症型である。DMDの新規治療法として核酸医薬によりスプライシングの制御を企図したエクソン・スキップが注目される。最近,日本と米国でDMDの8%を治療可能なエクソン53スキップ薬のビルトラルセンが早期条件付き承認され,続けてDMDの6%を治療可能なエクソン44スキップ薬のブロギジルセンの第Ⅰ/Ⅱ相医師主導治験が成功裏に完了した。しかし,エクソン・スキップ治療は,遺伝子型依存的であることから治療対象に制限があり,短縮型ジストロフィンの発現を誘導することが課題だった。そこで,遺伝子型に関係なくジストロフィノパチーの骨格筋,心筋,脳症状を治療可能な次世代治療として,メッセンジャーRNA(mRNA)医薬とナノ粒子を用いた全長型ジストロフィンの補充治療が期待されている。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。