特集 副腎研究の最前線
Ⅱ.臨床 2.クッシング症候群の診断と治療
掲載誌
The Lipid
Vol.34 No.2 45-51,
2023
著者名
河野 貴史
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田中 知明
記事体裁
抄録
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特集
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
The Lipid
Key Words
高コルチゾール血症
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Cushing徴候
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副腎性Cushing症候群
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Cushing病
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ステロイド合成阻害薬
Cushing症候群は,副腎皮質から慢性的なコルチゾール過剰状態を来す疾患である。特異的な症状,糖・脂質・骨の代謝異常,高血圧などの非特異的な症状を示す全身疾患であり,二次性肥満症の鑑別診断としても重要である。主要徴候として,満月様の顔貌,中心性肥満または水牛様の脂肪沈着,赤紫色の伸展性皮膚線条,皮膚の菲薄化や皮下溢血,近位筋萎縮による筋力低下といったCushing徴候を認める。病型として,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)非依存性では副腎性Cushing症候群,ACTH依存性ではCushing病または異所性ACTH症候群がある。高コルチゾール血症は感染症,高血圧,糖・脂質代謝異常,骨粗鬆症,精神病,心血管障害などを引き起こすため,高コルチゾールの是正が重要である。腫瘍性の場合には切除が第一選択となる。腫瘍切除が困難な場合には,コルチゾール合成阻害薬を中心とした薬物療法を行う。高コルチゾール血症は曝露期間によって,不可逆性合併症を起こすため,早期診断・治療介入が重要である。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。