特集 オルガネラと脂質-基礎と臨床から-
Ⅱ.臨床
2-3.Niemann-Pick病における脂質代謝と治療開発
掲載誌
The Lipid
Vol.32 No.2 68-75,
2021
著者名
中村 浩之
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
栄養管理
診療科目
循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
The Lipid
Key Words
Niemann-Pick病C型,コレステロール,スフィンゴ脂質,脂質輸送,ミグルスタット
Niemann-Pick病C型(NPC)は細胞内コレステロール輸送を担う蛋白質のNPC1またはNPC2をコードする遺伝子の変異により発症する神経変性疾患である.本疾患は細胞内の後期エンドソーム/ライソゾームに遊離型コレステロールが蓄積し,脳においては特にスフィンゴ糖脂質が蓄積する.NPCの治療薬として承認されているミグルスタットはグルコシルセラミド合成酵素阻害薬であり,脳内のスフィンゴ糖脂質レベルを減少させ,神経変性の進行を遅らせる.近年では,遊離型コレステロールの蓄積を軽減する治療薬の候補もいくつか報告されている.特に,シクロデキストリンは臨床試験が実施されており,新規NPC治療薬としての可能性が期待されている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。