特集 オルガネラと脂質-基礎と臨床から-
Ⅱ.臨床
2-2.中枢神経症状を伴うライソゾーム病に対する新しい治療
掲載誌
The Lipid
Vol.32 No.2 61-67,
2021
著者名
川島 聡
/
佐藤 裕史
/
薗田 啓之
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
栄養管理
診療科目
循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
The Lipid
Key Words
ライソゾーム病,神経変性,中枢神経症状,酵素補充療法,血液脳関門
ライソゾームは50種類以上の加水分解酵素を含む細胞小器官であり,これらの酵素の遺伝的欠損または機能異常により基質がライソゾーム内に蓄積しライソゾーム病が発症する.ライソゾーム病は進行性の難病であり,全身のさまざまな組織や臓器に基質が蓄積して多様な機能障害を生じる.欠損酵素の補充によって身体症状の治療が進んできた一方で,中枢神経症状に対しては有効な治療手段に乏しく,この課題を克服するために新たな治療法の研究や新薬開発が進められている.
本稿では,ライソゾーム病における中枢神経症状の発生機序と,現在試みられている治療法とを概説し,中枢神経症状への効果が期待される最新の治療薬についても紹介する.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。