特集 オルガネラと脂質-基礎と臨床から-
Ⅰ.基礎
1.ミトコンドリアにおけるカルジオリピンによる内膜融合の制御機構
掲載誌
The Lipid
Vol.32 No.2 17-23,
2021
著者名
伴 匡人
/
今井 綾
/
石原 直忠
記事体裁
特集
/
抄録
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
栄養管理
診療科目
循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
The Lipid
Key Words
ミトコンドリア,膜融合,カルジオリピン,OPA1,再構成
ミトコンドリアは酸素呼吸や代謝などに多彩な機能をもつオルガネラであり,細胞内で活発にその形態を変化させている.優性視神経萎縮症の原因遺伝子産物であるOPA1は内膜の融合に必須なGTPase蛋白質である.内膜を貫通して存在するL-OPA1は,ミトコンドリアに固有なリン脂質であるカルジオリピンを含む膜とさらに結合することで,融合に先立って2つの膜を結合させ,その後GTP加水分解に伴って膜融合を引き起こす.これらの結果は,ミトコンドリア膜内のカルジオリピンの成熟や分布の変化がミトコンドリアのダイナミクスを介してミトコンドリア機能の制御にかかわる可能性を示唆している.脂質によるミトコンドリア機能制御の今後のさらなる解析の進展が期待される.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。