高比重リポ蛋白(HDL)は末梢組織から余剰コレステロールを回収するコレステロール逆転送系にかかわる.また多面的な生体保護作用も知られているが,本項では新たなHDL-細胞間相互作用について紹介する.健常者HDLは,炎症にかかわるマクロファージにクラスリン依存性エンドサイトーシスによって取り込まれ,マクロファージの機能制御にかかわることを見出した.また動脈硬化性疾患HDLには,炎症性脂質メディエーターロイコトリエンB4(LTB4)を産生する酵素群が共存しており,HDLが産生するLTB4が本来のHDL-マクロファージ相互作用を阻害することで,HDLが本来もつ抗炎症・炎症収束作用を抑制していることが明らかとなった.
「KEY WORDS」高比重リポ蛋白(HDL),マクロファージ,ロイコトリエンB4(LTB4),5 -リポキシゲナーゼ(5 -LO),脂質メディエーター
「KEY WORDS」高比重リポ蛋白(HDL),マクロファージ,ロイコトリエンB4(LTB4),5 -リポキシゲナーゼ(5 -LO),脂質メディエーター