【特集 褐色脂肪細胞】
Ⅱ.褐色脂肪細胞の発生・分化・機能 UCP1の機能と比較生物学
掲載誌
The Lipid
Vol.25 No.1 29-35,
2014
著者名
岡松優子
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
一般内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
/
小児科
媒体
The Lipid
[Summary] 脱共役蛋白質1(uncoupling protein 1; UCP1)は褐色脂肪細胞のミトコンドリア内膜に存在するプロトンチャネルであり, ATP合成を脱共役して熱を産生する. UCP1の分子機能の制御にはプリンヌクレオチドや脂肪酸がかかわっているが, その制御様式には不明な点が多い. また, UCP1遺伝子はさまざまな生物種に存在しており, 分子系統学的解析から進化の過程でどのように保存されてきたのかが明らかになっている. 比較生物学的解析からも, さまざまな生物種における体温調節や熱産生能との関係が調べられており, 生物の進化と適応戦略をうかがうことができる. 「はじめに」脱共役蛋白質1(uncoupling protein 1; UCP1)は褐色脂肪細胞のミトコンドリアに存在し, 熱産生能を担う特殊なプロトンチャネルである. ミトコンドリアでは, 呼吸鎖によって作られるプロトンの濃度勾配を利用してATPが合成されているが, ミトコンドリア内膜に存在するUCP1が活性化するとATP合成を伴わずにプロトン濃度勾配が解消され, 結果的にエネルギーは熱として散逸する(図1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。