[Summary]ステロイド薬は長期的な服用が必要となる場合が多く, 糖・脂質代謝に影響を及ぼす. ステロイド薬の作用によって高LDLコレステロールおよび高中性脂肪血症などの脂質代謝異常が引き起こされる. これらの脂質代謝異常は, 一般的な場合と同様に治療することがコンセンサスとなっている. ステロイド薬の適応となる原疾患自体も心血管リスクとなることが多いが, ステロイド薬も血圧や糖・脂質代謝異常などの心血管リスク因子を増悪させる. 心血管病変の抑制のためには脂質代謝異常のみならず, 他のリスク因子も含めたリスク管理が重要である. 「はじめに」ステロイド薬(合成グルココルチコイド)は1950年代に薬効が確認されて以来, 膠原病, ネフローゼ症候群の治療や臓器移植後の薬物療法として一般的に用いられている. 副腎皮質ホルモンのひとつであるグルココルチコイドは分子量300~500程度で, 脂溶性が高い.
「Key Words」ステロイド,グルココルチコイド,脂質異常症,心血管リスク
「Key Words」ステロイド,グルココルチコイド,脂質異常症,心血管リスク