肝臓は,糖産生と糖取り込みの両者に中心的な役割を果たす臓器である。空腹時には,体が必要とするグルコースの80~90%は肝臓で産生されており¹⁾ ²⁾,食後には,30%強のグルコースが肝臓に取り込まれている²⁾。2型糖尿病では,肝糖産生が増強し³⁾,肝糖取り込みが障害されることが知られており⁴⁾ ⁵⁾,それぞれに空腹時・食後後期の高血糖および食後高血糖の発症に重要な役割を果たしている。肝臓の糖代謝は,インスリン・グルカゴンによる直接的制御を強く受ける一方で,脂肪組織や視床下部といった臓器との連関によっても調節されることが知られている。本稿では,肝糖代謝とその臓器連関による調節の仕組みについて概説する。
特集 糖尿病と肝臓
糖代謝における肝の臓器連関
掲載誌
Diabetes Frontier
Vol.28 No.6 639-643,
2018
著者名
井上 啓
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
/
糖尿病
/
消化器
診療科目
糖尿病・代謝・内分泌科
/
消化器内科
媒体
Diabetes Frontier
Key Words
インスリン/肝糖産生/肝糖取り込み/栄養素
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。