脳血管障害を診る~形態と機能障害の面から~
無症候性脳血管障害の臨床的意義
掲載誌
Diabetes Frontier
Vol.26 No.1 7-11,
2015
著者名
北川 一夫
記事体裁
抄録
疾患領域
糖尿病
診療科目
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
Diabetes Frontier
「はじめに」高齢化社会の到来に伴い脳卒中,認知症の罹患患者数の増大が社会問題となりつつある。脳卒中急性期治療は血栓溶解療法の登場により著しい進歩がみられるが,その恩恵を受ける患者数は依然として少なく,一方認知症ではアミロイドβを標的とした治療手段が中等症以上のアルツハイマー病では有効性を発揮しないことが示され,両疾患とも罹患ハイリスク患者を早期に診断し,発症予防のための早期治療を実施する重要性が叫ばれている。近年頸動脈超音波検査,脳MRI(magnetic resonance imaging),MRA(magnetic resonance angiography)検査の進歩により症候を有さない脳血管病変が捉えられるようになった。無症候性脳血管病変の検出は,脳卒中ハイリスク患者の選別に有用であるばかりか,アルツハイマー型認知症を含む認知症ハイリスク患者の選別に有用であることが示されている。アルツハイマー病患者には脳血管障害病変を伴う場合が多く,アルツハイマー病への血管危険因子の関与が近年特に脚光を浴びている1)。本稿では,これまでコホート研究で示されてきた頸動脈病変,脳細動脈病変の脳卒中,心血管イベント,認知症予測に対する臨床的意義についてまとめてみる。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。