「はじめに」CD26分子はヒトT細胞の活性化抗原として確立され, DPP-4(dipeptidyl peptidase-4, EC 3. 4. 14.5)と呼ばれる酵素活性を有している. その発現は広範囲で, 腎, 肝, 腸管などの上皮細胞などにも認められる1)-3). 一方, 末梢血リンパ球ではT細胞上に発現しており, 静止期T細胞ではflow cytometryで検討するとCD26の発現は3相性のパターンを示す. CD4+CD26brightの集団は, CD45ROを発現するメモリーT細胞に属している. このCD26陽性CD4 T細胞は, IL-2, インターフェロンγ(IFN-γ)などのサイトカインを分泌するTh1型の細胞であるとされている. またCD26はT細胞のシグナル伝達にも関与し, CD28同様に共刺激分子である. さらにこの細胞集団は血管内皮細胞間の遊走能力も強く, 炎症部位への移動, 集積を起こし, 種々の炎症性疾患などの病態に重要な役割を果たしている1)-3).
「key words」CD26,DPP-4,DPP-4阻害薬,ヒト免疫,インクレチン
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