はじめに
脳卒中発症早期に高血糖を呈する患者は多く,糖尿病の既往のない脳卒中患者でも40~60%に高血糖がみられる1)-3)。年齢,脳卒中の重症度,脳卒中病型にかかわらず,急性期高血糖は不良な転帰,機能予後不良と有意に関連し1)4)-6),プラスミノゲンアクチベータ(tPA)による血行再開療法においても,出血性梗塞の発症,転帰不良と関連することが知られている7)。しかし,脳卒中急性期の高血糖を何らかの形で是正する行為自体が脳保護的に働くのか,そして結果的に脳卒中の転帰改善に寄与するのかというきわめて単純な,しかし最も重要な問いに答えうる証拠はいまだ得られていない。むしろ,厳格な血糖管理は低血糖を招き転帰不良につながる危険性を指摘するものもあり,急性期脳卒中治療における血糖管理についてはいまだ意見の一致をみていない。本稿では,脳卒中後の血糖管理に関する最近の臨床研究の成果をまとめ,脳卒中急性期の血糖管理について概説する。
全文記事
糖尿病と救急医療
脳卒中の急性期治療と血糖管理
掲載誌
Diabetes Frontier
Vol.22 No.6 629-633,
2011
著者名
長谷川泰弘
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
糖尿病
/
脳血管障害
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
脳神経外科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
手術・救急
媒体
Diabetes Frontier
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。