「Summary」オキシコドンは腎機能障害が存在しても比較的安全に使用できる強オピオイドの1つだが, 多彩な剤型が存在するモルヒネ製剤に比べ使用可能な剤型が経口剤, 複方オキシコドン注射液のみであったため, オキシコドン製剤を注射剤として使用する場合は複方オキシコドン注射液を選択するしかなかった. 本剤は安全かつ有用な選択肢であることが示されているものの, 報告自体が少ないため具体的にどのような使用方法が有効かつ安全であるかについては明確となっていない. そのような状況のなか, われわれは単味のオキシコドン注射剤の開発治験に参加する機会を得た. 複方オキシコドン注射液の使用経験と単味のオキシコドン注射剤の治験経験を踏まえ, 本稿ではがん疼痛に対して経口モルヒネからオキシコドン注射剤へ切り替える際のベーシックな使用方法, 注意すべきポイントについて概説する.
「はじめに」がん疼痛治療のスタンダードであるWHO方式がん疼痛治療法は, 非オピオイド, オピオイド(弱オピオイド, 強オピオイド)の使用に加えて鎮痛補助薬, 副作用対策といった薬物療法のほか, 心理社会的支援などを包括的に用いた治療戦略である1).