骨リモデリングは骨吸収を担う破骨細胞と,骨形成を担当する骨芽細胞との絶妙なバランスの上に規定されており,破骨細胞の分化や多核化,機能などの不全によって破綻が生じる.RANKLの発見による破骨細胞単独の培養系の確立により,破骨細胞や骨形成に作用するさまざまな機能分子が同定されてきた.本稿では,これまでに明らかにされてきた破骨細胞側からみた骨リモデリング制御機構について考察したい.
「はじめに」骨の恒常性は骨吸収を担う破骨細胞と,骨形成を担う骨芽細胞との絶妙なバランスの上に規定されており,そのいずれに障害が生じても骨の恒常性は破綻する.骨リモデリングは,破骨細胞による骨吸収ののち,骨芽細胞による骨形成が生じる一連のサイクルであり,破骨細胞の骨吸収が,それに続く骨芽細胞による骨形成を刺激する.
「key words」破骨細胞,骨リモデリング,カップリング,RANKL,DC-STAMP,OC-STAMP,HIF1α,TGFβ