メカニカルストレスは，組織・器官の発生や再生，あるいはその恒常性や可塑性に深く関与している．特に骨と筋は力学的負荷（メカニカルストレス）の影響を受けやすく，一定期間，強い負荷に晒されると太く丈夫になるが，逆の条件では細く脆くなる．これらの応答は，骨細胞/骨芽細胞・破骨細胞や筋細胞/衛星細胞の力覚（メカノセンシング）とその下流で制御される細胞内シグナル伝達（メカノシグナリング）に依存することが明らかになってきた．
「はじめに」我々の身体を構成する組織や器官の形態と機能は，ホルモンやサイトカインのような化学的刺激だけではなく，生体内外に由来するさまざまなメカニカルストレス（本来は，力学的負荷によって生じる対象内の応力を指すが，ここでは力学的負荷の意味で使う）により影響される．特に骨や筋はメカニカルストレスに敏感であり，その強度に応じて顕著な表現型の変化を示す．
「key words」メカニカルストレス，メカノセンシング，メカノシグナリング，骨細胞，筋細胞