既存椎体骨折は,将来の椎体骨折リスクを増加させ,そのリスクは既存椎体骨折数が多いほど高くなる.「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2011年版」において椎体骨折に対する推奨グレードがAである薬剤および新規薬剤の中から既存椎体骨折を有するものに絞って,椎体骨折予防効果に関して概説する.骨粗鬆症治療において,各薬剤の椎体骨折二次予防の効果を理解し,患者の背景に応じた適切な薬剤選択を行うことは重要である.
「はじめに」脆弱性骨折を一度起こすと,将来的な骨折リスクを高め,「fracture cascade」といわれるように脆弱性骨折の連鎖をもたらす.骨折の一次予防以上に,二次予防は非常に重要な課題である.疫学的に骨折リスクを高める主な要因は,①既存の脆弱性骨折,②加齢,③低骨密度であり,加えて低骨密度状態では,④骨吸収亢進,が挙げられる.
「key words」椎体骨折,二次予防,薬物治療