辻田 近年、核酸医薬品の1つであるsiRNA製剤の実用化が進み、従来の創薬技術では標的とすることが難しかった希少な遺伝性疾患や、代謝性疾患、循環器疾患など罹患数の多い疾患への応用も期待されています。既存の医薬品と異なり、RNAを標的として疾患の原因にアプローチするsiRNA医薬品の使用に関する考え方、課題や期待について、エキスパートの先生方と討論を行いたいと思います。

討論に先立ち、私からsiRNA製剤の特徴について概要を説明します。siRNAは、2本鎖RNAの片方のRNAが相補的な塩基配列をもつmRNAと特異的に対合、切断するRNA干渉により遺伝子発現を制御する分子メカニズムを有します(図1)1)2)。たとえば、われわれが多く診るトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)であれば、おもに肝細胞で産生され血中に分泌されるトランスサイレチン(TTR)のmRNAを切断し、その発現を抑えるという直接的なアプローチにより高い治療効果が期待できます。