特集 最近の話題と将来展望 ~腫瘍内科、血液内科、自己免疫疾患、循環器内科、神経内科領域~
循環器学
掲載誌
Pharma Medica
Vol.40 No.1 35-39,
2023
著者名
坂田 泰史
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
循環器
診療科目
循環器内科
媒体
Pharma Medica
Key Words
予防医療,ゲノム情報,SDOH(Social Determinants of Health)
循環器医療とは、心不全、突然死の発症・進行を予防することが目的である。心不全とは、なんらかの心臓機能障害、すなわち「心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義される¹⁾。つまり心不全は、心ポンプ機能異常により息苦しさ、むくみ、倦怠感などの症状が出現する病態であり、長い時間経過を持ったステージとして捉えられるようになってきた。心ポンプ機能異常を来すリスクを持つ「心不全の高リスク(ステージA)」、心ポンプ機能異常を来しているが、心不全症状は出現していない「前心不全状態(ステージB)」、心不全症状を来している「心不全(ステージC)」、治療抵抗性となり頻回に入院を繰り返すようになる「重症心不全(ステージD)」の4つのステージにより表現される²⁾(図1)³⁾。
よって、治療は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などを持つ症例を心ポンプ機能異常に落とし込まない、つまりステージAからBへの進行を防ぐこと、冠動脈疾患、無症候性弁膜症、心房細動など心ポンプ機能異常症例に対し心不全症状を起こさない、つまりステージBからCへの進行を防ぐこと、さらに心不全症状を悪化させず症状をコントロールする、つまりステージCからDへの進行を防ぐことという、少なくとも3回「予防する」チャンスがあることになる。そして、循環器学は冠動脈、刺激伝導系、弁膜などの構造、そして心筋・心膜という4つのパーツへの介入により、心ポンプ機能をいかに悪化させないかが重要な使命であり、併せてさまざまな併存疾患への対処を行うことになる。本稿では、この目的を遂行するに当たり課題となっている最近の4つのトピックについて簡単に紹介する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。