特集 糖尿病診療最前線2021
新型コロナウイルス感染症と糖尿病診療
掲載誌
Pharma Medica
Vol.39 No.5 57-60,
2021
著者名
山内 敏正
/
岩部 真人
/
岩部 美紀
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
代謝・内分泌
/
糖尿病
/
腎臓
/
感染症
診療科目
糖尿病・代謝・内分泌科
/
腎臓内科
媒体
Pharma Medica
Key Words
新型コロナウイルス感染症,糖尿病,シックデイ,糖尿病治療薬
現在世界中でパンデミックを引き起こしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,一度は感染拡大の速度が緩んだようにみえた。しかし,各種規制緩和などの影響で再拡大が各国で起きており,いまだ予断を許さない状況が続いている。COVID-19を引き起こす病原体であるSARS-CoV-2は,SARSコロナウイルス(SARS-CoV)およびMERSコロナウイルス(MERS-CoV)と同じくベータコロナウイルス属に分類され¹⁾,SARS-CoVと同様に,スパイク糖蛋白質がアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することによって,標的細胞に侵入することが明らかになっている²⁾。COVID-19の病態メカニズムはいまだ多くが明らかになっていないが,疫学的にさまざまな情報が集約されつつあり,糖尿病や肥満症などの基礎疾患を有する患者はリスクが高いことが明らかになった。糖尿病患者の血糖コントロールがCOVID-19の罹患率に影響を及ぼすかについては,一定の見解が得られていない一方で,糖尿病患者はCOVID-19に罹患した際に重症化しやすく,予後不良であることが多数報告されている。そのため,COVID-19に対する決定的な治療法が開発されていない現状において,糖尿病患者の血糖コントロールはきわめて重要である。本稿では,糖尿病患者の血糖コントロールの重要性について概説し,COVID-19を発症した糖尿病患者の血糖コントロールにおける治療戦略について最近の論文を中心に紹介したい。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。