特集 ロボット手術の新たな展開
手術手技データベース構築による次世代外科学の展開
掲載誌
Pharma Medica
Vol.39 No.4 35-39,
2021
著者名
竹下 修由
/
伊藤 雅昭
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
その他
診療科目
一般外科
/
その他
媒体
Pharma Medica
Key Words
Artificial intelligence(AI),内視鏡外科手術,データベース,自動技術評価
近年,内視鏡外科手術の実施件数は急増しており,その安全性と有効性が報告されている¹⁾。日本内視鏡外科学会(JSES)が実施した「内視鏡外科手術に関するアンケート調査-第14回集計結果報告-」によると,わが国における2010~2017年の内視鏡外科手術総症例数は127,289件から248,743件まで約2倍に増加している²⁾。一方で,内視鏡外科手術では修練に基づく高度な技能が要求されるため,施設間や術者間の治療成績に格差があることもわかっている。大腸がんを例に挙げると,年間手術件数が多い施設では肛門温存率や局所制御率などの治療成績が優れており³⁾,トレーニングを受けた大腸外科チームと一般外科チームでは,前者で無再発生存期間が優れていたと報告されている⁴⁾。このように“手術の質”は外科医の技量に大きく左右され,周術期合併症発生率などの短期成績ばかりでなく,生存率などの長期成績にも影響を与える。
これまで,外科医の経験・知識に基づく技量や判断により“暗黙知”という形で行われてきた手術手技を“見える化”することは,手術支援や外科教育の観点からも非常に重要である。われわれは,内視鏡外科手術の普及により大量に蓄積されるようになった手術動画をもとに,手術を定量化・デジタル化する試みを行っている。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。