はじめに  厚生労働省患者調査1)によれば,1999年から2008年の間に,うつ病を含む気分障害による総患者数は44.1万人から104.1万人へと2倍以上に増加した(通院間隔を考慮した推定総患者数)。うち入院患者はいずれの年でも2.6万人程度と一定であり,増加のほぼすべては外来患者である。ここでは,うつ病の頻度およびその動向を巡って,世界と日本の地域の一般住民に対する精神保健疫学研究から最近の成果を紹介し,気分障害患者数の増加の背景を考察する。