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アルツハイマー病の新たな展開
γセクレターゼによるアミロイド前駆体蛋白質切断
掲載誌
Pharma Medica
Vol.28 No.7 35-38,
2010
著者名
井原康夫
/
舟本聡
記事体裁
特集
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全文記事
疾患領域
精神疾患
診療科目
一般内科
/
脳神経外科
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神経内科
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老年科
/
精神科
媒体
Pharma Medica
「はじめに」アミロイドβ蛋白質(Aβ)は, I型膜蛋白質のアミロイド前駆体蛋白質(APP)から生じる40アミノ酸ほどのペプチドで, 脳内に沈着する. アミロイドカスケード仮説に従うと, Aβはアルツハイマー病発症に至るすべての事象の引き金である. したがって, Aβの産生を抑えることがアルツハイマー病発症を阻止する最も有効な方法といえる. Aβ産生を効果的に抑制するにはその論理基盤を形成する必要があり, すなわちAβの産生機序の解明か不可欠となる. γセクレターゼはAβ産生を直接的に担うアスパラギン酸プロテアーゼで, 膜に存在する巨大な蛋白質複合体である. 本稿では, Aβ産生に至るγセクレターゼによるAPPの切断についてわれわれの研究成果を交えて解説したい. 「I. γ切断とε切断」1. γ切断 APPはβセクレターゼにより大部分の細胞外領域が切除され, 99アミノ酸からなるC末端断片(βCTF)に変換される.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。