No.44 2017.02.17 発行:株式会社メディカルレビュー社
腎細胞癌の最新知見はこの一冊で!
「新刊アイ」では、“先生のコメントから読み解く新規刊行物の魅力”をお伝えいたします。
今号では腎細胞癌に関する現時点での知見と、現場の感覚を失わない「本当のところ」がわかる『Year Book of RCC 2016』をご紹介します。
- 新刊案内『Year Book of RCC 2016』
- 切除可能腎がんを対象とした分子標的治療
- 腎線維化の新たな治療標的
- 医療費の使い方について,医師は自らの姿勢を明確にする必要がある
『Year Book of RCC 2016』
発行日 | : | 2017年1月20日 |
編 集 | : | 冨田善彦 (新潟大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器病態学・分子腫瘍学分野教授) |
編 集 | : | 金山博臣 (徳島大学大学院医歯薬学研究部泌尿器科学分野教授) |
編 集 | : | 植村天受 (近畿大学医学部泌尿器科主任教授) |
編 集 | : | 篠原信雄 (北海道大学大学院医学研究科腎泌尿器外科学分野教授) |
2016年8月に、抗PD-1抗体ニボルマブが腎細胞癌に適応拡大となり、いよいよ腎細胞癌治療もImmuno-Oncology(I-O)drugの時代になりました。その効果の大きな特徴の1つは、一度効果が発現すると長らく継続することが少なくないことですが、自己免疫疾患様の有害事象が発現することや、非常に高額な薬剤費の問題もあります。その解決法の1つに、いわゆる“precision medicine”に基づき、適切な患者に、適切なタイミングで、適切な薬剤を適量で投与することが考えられます。
本号では、precision medicineの中核となる腎細胞癌の遺伝子的理解について、またI-O drugに関して今後の展望、臨床試験結果の解釈、さらにその経済的側面などについて解説していただきました。
一方、現時点で、臨床の現場で腎細胞癌治療において活躍しているのは、やはり分子標的薬であり、新たに「My champion case」(分子標的薬使用で非常にうまくいった(いっている)症例の報告)を企画してみました。
本号も先生方のお役に立てれば幸いです。
切除可能腎がんを対象とした分子標的治療
がん分子標的治療 Vol.14 No.2, 35-40, 2016
杉元幹史ほか
転移のない局所進行性腎がん(RCC)に対して、強い腫瘍縮小効果をもつ分子標的薬を術前に投与することの意義と妥当性を検討する。術前に腫瘍を縮小させることによって、手術侵襲の低減や安全性の向上、切除不能症例の一部も切除可能となることが期待される。さらに、腎機能低下症例や単腎症例に対して腎全摘を回避し部分切除が可能になれば、腎機能の温存が図れる。薬剤としては、アキシチニブおよびパゾパニブは近接効果が比較的大きく、期待できる。しかし、下大静脈腫瘍塞栓に対する効果は限定的であり、臨床的有用性はさほど高くないものと推測される。一方、分子標的薬により創傷治癒の遅延や出血量の増加といった周術期合併症の発生率が高くなる危険性も示唆されている。また、効果が低い場合には手術までの期間が延長することにより、術前投与中に病勢が進行する可能性がある。このような不利益も十分に考慮しなければならない。残念ながら、現段階では切除可能RCCに対する術前投与の臨床試験は後ろ向き試験あるいは少数の前向き試験のみで、エビデンスレベルは高くない。今後は大規模な前向き試験によって、使用薬剤や投与方法の確立、さらには適応症例の選別や効果予測のバイオマーカーなどを明らかにしていく必要がある。加えて、術前投与の無病非再発率や全生存率への長期的な効果についても検証する必要がある。
腎線維化の新たな治療標的
アンチ・エイジング医学 Vol.12 No.1, 24-29, 2016
土井盛博ほか
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は、全世界で8~16%の有病率であると推定され、日本においても、高血圧、糖尿病に次ぐ第三の国民病として認識されるようになった。CKDの原疾患はさまざまであるが、腎機能は加齢に伴って低下し、急性腎障害(acute kidney injury:AKI)や腎癌の発生リスクが高まることが報告されている。健常人においても、加齢とともに腎機能が低下し、AKIや腎癌の発生が高くなることが知られており、CKD患者と高齢者の臨床的な特徴は共通している。さらに、腎線維化はすべての腎疾患の共通した病理像であるが、加齢腎の病理学的特徴も腎線維化であり、分子学的にも共通した機序が関与していることが示唆される。これまでに、老化に関与する因子は数多く報告されているが、加齢によって増加あるいは減少する因子の中で、AKIや癌の発症、腎線維化との関連が基礎研究で示されているものとして、酸化ストレスによるDNA障害、細胞周期の停止した細胞の蓄積、抗老化蛋白であるKlotho蛋白の減少があげられる。
医療費の使い方について,医師は自らの姿勢を明確にする必要がある
CARDIAC PRACTICE Vol.26 No.2, 71-73, 2015
木全心一
日本の医療保険制度は、WHOから世界一の制度だとの評価を受けている。評価が高い理由は、保険加入者は貧富の差なく、最も優れた医療が受けられることにあると思う。日本人は優しいので、貧乏人も金持ちも平等に最高の医療を受けられるようにしたいと考えており、この精神に則った本制度を維持したいと国民全体が思っている。適用範囲を制限する意見をいうと激しいバッシングにあうので誰も口にしない。このため医療費の中身について、国をあげての議論がなされてこなかった。最近になって医療費を負担している側が高すぎると思いはじめ、国民が骨身を削って費用を負担しているのに、医療サイドは冗漫な使い方をしているのではないかという疑問を持ち出している。この不信を晴らすために、医療の側から国民に医療費を無駄なく有効に使っていることを明確に示しておく必要がある。これは非常に難しい問題であり抜本的な提案はできないが、いくつかの問題点を挙げて検討してみたい。
M-Reviewサイトアドバイザーの先生方よりご紹介いただいた注目の学会・研究会などをご紹介します。
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会期 | 回 | 学会名/会長 | 主会場 |
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2/18~2/19 | 7 | 日本腎臓リハビリテーション学会学術集会 山縣邦弘 |
つくば つくば国際会議場 |
2/23~2/24 | 32 | 日本静脈経腸栄養学会学術集会 平井敏弘 |
岡山 岡山シンフォニーホール 他 |
2/24~2/25 | 47 | 日本人工関節学会 遠藤直人 |
宜野湾 沖縄コンベンションセンター 他 |
3/7~3/9 | 16 | 日本再生医療学会総会 出澤真理 |
仙台 仙台国際センター会議棟・展示棟 |
3/9~3/11 | 44 | 日本集中治療医学会学術集会 丸藤哲 |
札幌 ロイトン札幌 他 |
M-Review学会カレンダーでは、さらに多くの学会・研究会の日程をご紹介しております。 |
もうすぐ2月22日がやってきます。
その日は「ニャン(2)ニャン(2)ニャン(2)」の語呂合わせで「猫の日」とされているのは有名な話ですが、毎月22日が「ショートケーキの日」であるということはご存知でしょうか。
理由はカレンダーで22日の上が15(イチゴ)日だからです。
そんなショートケーキに欠かせないイチゴの旬はまさに今です!
そして近年、日本のイチゴが海外の方に大人気だと、ニュース番組で取り上げられていました。
海外で普通に販売されているその土地のイチゴより、日本のほうが甘くてジューシーだそうで、イチゴ狩りでも海外の方の参加が増えているそうです。
日本のものが海外の人たちにも人気だと、食べ物であれ、文化であれ、うれしいものです。
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