No.39 2016.09.05 発行:株式会社メディカルレビュー社
こんな症状があったら…女性の疾患を疑うとき
「新刊アイ」では、“先生のコメントから読み解く新規刊行物の魅力”をお伝えいたします。
今号では、女性をみるすべての医師必読の一冊、女性のヘルスケアに必要な基本的なことから最新の知識まで幅広いエッセンスが含まれた『産婦人科へつなぐ日常診療での女性のミカタ』のご紹介です。
- 新刊案内『産婦人科へつなぐ日常診療での女性のミカタ』
- 産科系疾患とうつ病
- 妊娠に伴う糖尿病
- 子宮移植の現状と課題
『産婦人科へつなぐ日常診療での女性のミカタ』
発行日 | : | 2016年8月31日 |
編 集 | : | 木村正(きむら ただし) |
所 属 | : | 大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室教授 |
ご略歴(木村先生)
1985年 大阪大学医学部卒業後、同附属病院、大阪労災病院産婦人科、大阪大学医学部産科学婦人科学講座にて研鑽を積む。1995年 ドイツ・ハンブルク大学に留学し、帰国後は大阪府立成人病センター婦人科医長、同参事兼婦人科医長、大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学講座助手、同講師を経て、2006年より現職。
木村先生に本書に込めた想いをうかがいました。
すべての医師の皆様に、「女性のミカタ(診かた)を少しでも知っていただき、女性のミカタ(味方)になっていただきたい」という気持ちで編纂いたしました。もちろん、専門的な診療は私たちが行わねばなりませんが、産婦人科疾患に全く気がつかなかったり、産婦人科受診を躊躇している女性たちの症状を聞き、専門的対処能力をもつ産婦人科医につないでいただきたいと思っています。全く気がついていない、あるいは産婦人科に行こうかどうしようかと悩める女性たちの背中を一押ししていただきたいのです。そのためには、すべての先生方のこころに産婦人科疾患を留めていただき、私たち専門家とよりよい協力関係をつくることが必要だと思っています。
初期研修医からベテランまで、すべての女性を診察される先生方にぜひご一読いただきたいと思っています。
産科系疾患とうつ病
DEPRESSION JOURNAL Vol.4 No.1, 22-25, 2016
岡野禎治
出産に関連した精神疾患があることは、古くから注目されていた。特に産褥精神病については、フランスの精神科医Marcéが1858年に「周産期の精神疾患の概論と医学法律的考察」という大部のモノグラフを刊行して、その症候学的特異性が注目された。一方、産褥期のうつ病についての医学的記載は、1960年刊行されたQueen Charlotte産科教科書にみられるが、周産期のうつ病の研究活動が活発になったのは、英国で周産期精神医学の国際学会が設立された1980年以降のことである。今日では、DSM-5には妊娠期も入れた「peripartum(周産期)」という特定用語がようやく掲載されたが、周産期の精神疾患は、準臨床的な類型も入れると多彩である。英国の精神医学の教科書では、表1のように詳細で緻密な臨床分類がこの領域の権威であるBrockingtonバーミンガム大学名誉教授により提案された。本稿では、周産期のうつ病に関して、その頻度と危険因子、最新の興味深いエビデンスも交えて概説する。
妊娠に伴う糖尿病
Diabetes Frontier Vol.27 No.1, 75-79, 2016
清水一紀
妊娠に伴う耐糖能異常への治療介入は、短期的な意義と長期的な意義とが存在する。短期的な意義とは周産期における母児合併症の予防であり、長期的な意義は妊娠後に発症する真の糖尿病の予防である。妊娠中の管理としては、糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病では周産期予後が大きく異なるため二分して考える必要がある。すなわち、糖尿病合併妊娠の治療は奇形や重篤な周産期合併症を予防するためで、妊娠糖尿病の治療は主に巨大児の予防である。さらに特殊な例ではあるが、妊娠中に発症する劇症1型糖尿病も忘れてはならない。
子宮移植の現状と課題
Pharma Medica Vol.34 No.4, 39-45, 2016
阪埜浩司 ほか
妊娠可能年齢にある女性の不妊症有病率は、3.5~16.7%であるとの報告がある。そのなかでも子宮性不妊症は、いまだ治療法のみつかっていない唯一の不妊症ともいえる。1978年にはじめて体外受精児が誕生して以来、生殖補助医療はめまぐるしい発展を遂げてきたにもかかわらず、子宮性不妊症の治療は不可能なままである。現在、子宮性不妊の女性が母親になるための手段として、法律的な母親となることのできる養子縁組、遺伝的な母親となるための代理懐胎が存在する。しかし、代理懐胎は倫理的、法律的、宗教的理由から、わが国をはじめ多くの国で認められていない。このような子宮性不妊の女性が挙児を実現するための手段として子宮移植が注目されている。子宮移植はドナーからの子宮提供により、移植を受けたレシピエントの妊娠と出産を可能にする技術である。
M-Reviewサイトアドバイザーの先生方よりご紹介いただいた注目の学会・研究会などをご紹介します。
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会期 | 回 | 学会名/会長 | 主会場 |
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9/9~9/10 | 21 | 日本脳腫瘍の外科学会 斉藤延人 |
東京 虎ノ門ヒルズフォーラム |
9/10~9/11 | 31 | 日本皮膚外科学会総会・学術集会 清原祥夫 |
沼津 ふじのくに千本松フォーラム プラザヴェルデ |
9/16~9/18 | 42 | 日本整形外科スポーツ医学会学術集会 山下敏彦 |
札幌 札幌コンベンションセンター |
9/23~9/25 | 64 | 日本心臓病学会学術集会 代田浩之 |
東京 東京国際フォーラム |
9/29~10/1 | 75 | 日本脳神経外科学会学術総会 鈴木倫保 |
福岡 福岡国際会議場 他 |
9/30~10/2 | 39 | 日本高血圧学会総会 伊藤貞嘉 |
仙台 仙台国際センター |
M-Review学会カレンダーでは、さらに多くの学会・研究会の日程をご紹介しております。 9月より2017年版の公開が始まりました。ぜひご覧ください。 |
リオデジャネイロにある王立ポルトガル図書館は「幻想図書館」の名で親しまれています。
35万冊以上の本が、まるでファンタジー映画に出てきそうな内観の中に収められているのですが、なんといっても驚きなのは、入室が許されているのは1部屋のみで、本に触れることも借りることも一切禁止されていることです。一般の人は持参の本を読むなど、雰囲気を楽しむことしかできないようです。
唐の韓愈の詩「灯火親しむべし」に由来した読書の秋がもうすぐやってきます。 お気に入りの読書スポットを見つけて、長居をしてみるのも良いかもしれません。
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