Vol.81
No.20 2014.12.24 発行:株式会社メディカルレビュー社
今の救命救急から、次世代のイノベーションへ
「新刊アイ」では、“先生のコメントから読み解く新規刊行物の魅力”をお伝えいたします。
今号では、日常のDICの救命医療に活用されるだけでなく、問題点を発掘し、さらに解決していく動機にして欲しいという願いが込められた『ファーマナビゲーター DIC編』のご紹介です。
- 新刊案内『ファーマナビゲーター DIC編』
- 呼吸器と循環器のクロストーク―薬物の進歩― ARDS時の循環障害
- オセルタミビル耐性は存在するか
- 痛みに対する音楽療法
『ファーマナビゲーター DIC編』
発行日 | : | 2014年11月10日 |
編 集 | : | 丸山征郎 (まるやま いくろう) |
所 属 | : | 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 システム血栓制御学(メディポリス連携医学)特任教授 |
ご略歴(丸山先生)
1944年 宮崎県出身。1972年 鹿児島大学医学部卒業。初期研修の後、鹿児島大学医学部第3内科に入局。1975年から3年間、帝京大学医学部第1内科国内留学。その後、大阪大学蛋白質研究所留学。1982~1985年 セントルイス市ワシントン大学Division of Hematology & Oncology留学。当時発見されて間もないトロンボモジュリンに着目し、研究を始める。帰国後、鹿児島大学医学部第3内科助教授を経て、1992年 同臨床検査医学講座教授。2000~2001年 富山医科薬科大学客員教授兼任。2010年~鹿児島大学大学院医歯学総合研究科システム血栓制御学(メディポリス連携医学)特任教授。
編集の丸山先生に、読者へのメッセージをいただきました。
“今の救命救急から、次世代のイノベーションへ”
本編は、特に次のような視点を重視して編纂された。
1.播種性血管内凝固症候群(DIC)は本邦が終始世界をリードする領域である。この輝かしい歴史の上に今まさにオンゴーイングの内容を付加したこと、2.すなわち、病態理解の新展開とそれに基づく診断法の詳述、3.新規治療法とその評価の紹介、などなどである。
近年の分子細胞生物学の爆発的進展の上に、DIC は今でははっきりと救命しうる病態であることが示されつつある。もちろん、病態の改善は、基礎疾患の治療効率も向上させる。Drug delivery の導線である血管の流通が改善されるからである。
しかしイノベーションはたちまちジレンマに陥り、停滞する宿命にある。編者が執筆者を代表して述べる言葉は、本モノグラフを日常の救命救急に活用され、そしてそこから問題点を発掘し、さらに解決してゆく動機にして欲しいということである。すなわちイノベーションの矛盾と解法の無限に続くスパイラルの道標としての本モノグラフである。
呼吸器と循環器のクロストーク―薬物の進歩― ARDS時の循環障害
THE LUNG perspectives Vol.19 No.4, 54-58, 2011
田坂定智
急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS)は、敗血症、重症肺炎、外傷などのさまざまな基礎病態に引き続いて惹起され、肺微小血管の広範な傷害による血管透過性亢進を特徴とする非心原性肺水腫です。ARDSでは肺血管攣縮や間質浮腫による圧迫、微小血栓による閉塞などが相まって肺高血圧が生じ、右心機能・心拍出量の低下を招き、全身への酸素供給の減少につながります。また、外因系凝固経路の活性化が起こり、血栓形成に加え、肺胞腔内へのフィブリンの析出などを介して炎症の増強・遷延の要因になっています。
本稿ではARDS時の循環障害について肺高血圧と凝固異常の両面から述べられています。
凝固系と炎症との相互作用について理解が進むにつれ、抗凝固療法の有用性が明らかになってきており、ARDSの予後の改善につながる治療法の確立に向けて、さらなる知見の集積が期待されています。
オセルタミビル耐性は存在するか
感染症道場 Vol.2 No.1, 38-41, 2013
高下恵美 ほか
本稿ではインフルエンザウイルスの薬剤耐性について解説し、オセルタミビル耐性ウイルスの存在についての検討がなされています。
オセルタミビル耐性ウイルスとは、オセルタミビルに対する感受性が低下し、抵抗性を獲得したウイルスのことです。
臨床経過から薬剤耐性が疑われる場合には、管内の地方衛生研究所にウイルス学的検査を依頼するとともに、交叉耐性のない別の作用機序をもつ薬剤に変更することを検討すべきであり、抗インフルエンザ薬の選択には、耐性ウイルスの検出状況に注意を払うことも必要であると筆者は述べています。
痛みに対する音楽療法
Practice of Pain Management Vol.4 No.3, 28-30, 2013
高橋多喜子
音楽療法は痛みの軽減に関しては得意分野です。医療技術や薬学が驚くべき進歩をしてきた昨今でも、痛みや不安の軽減に音楽が用いられており、音楽介入が非薬学的介入として、痛みや不安を緩和したというエビデンスも多く存在します。本稿では、痛みと音楽療法をキーワードにしてMEDLINEで検索した、2011年1月~2013年4月までの75件の論文のなかから、痛みと音楽療法にかかわる文献をいくつか挙げ、痛みに対する音楽療法について述べられています。
筆者は、音楽を使用することで鎮静剤の量が減じられる上、音楽は安全かつ費用がローコストであり、患者のルーチンケアにもたやすく組み入れることができるため、もっと多くの患者に痛みのコントロールの方法・補完代替医療として、音楽療法が使われるべきであると述べています。
M-Reviewサイトアドバイザーの先生方よりご紹介いただいた注目の学会・研究会などをご紹介します。
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会期 | 回 | 学会名/会長 | 主会場 |
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1/10~1/11 | 49 | 日本成人病(生活習慣病)学会学術集会 木村理 |
東京 都市センターホテル |
1/10~1/11 | 18 | 日本病態栄養学会年次学術集会 稲垣暢也 |
京都 国立京都国際会館 |
1/17 | 9 | 新・痛みの研究会 |
名古屋 ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋 |
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冬の大三角形といえば、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、オリオン座のベテルギウス。そのベテルギウスが爆発するかもしれないという話題は、記憶に新しいのではないでしょうか。
星の爆発は過去に何度か観測されていて、日本でも藤原定家の日記『明月記』に記載されています。
ベテルギウスが爆発した後の、オリオン座はどうなるのでしょうか。
爆発するのは100年後、あるいは数万年後ともいわれています。冬の夜空を見上げるたびに、世紀の天体ショーを期待せずにはいられません。
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