« 学会アイ一覧へ戻る

投稿日時:2018/04/06(金)

M-Review Highlight
学会アイ

No.86 2018.04.06 発行:株式会社メディカルレビュー社

呼吸器病学~今日までの軌跡と確かなる未来予想図~/免疫不全患者の深在性真菌症

1896年4月6日、ギリシャで近代オリンピック第1回アテネ大会が開催されました。この時の参加者は男性のみで、14ヵ国から241人の選手が集まりました。
レスリングには体重制限がなく、体操には綱渡りがあり、競泳は海上で行われるなど、現在の競技とはだいぶ様子が違ったようです。そのなかで大会ハイライトとなったのは、この五輪での試合が世界で初めてとなるマラソンでした。優勝したのはギリシャの羊飼いで、一躍ギリシャのヒーローになったそうです。
なお、このアテネ大会では財政難のため金メダルは用意されず、優勝者には銀メダルとオリーブの一枝が授与されたといいます。オリンピックの形は、100年以上の年月をかけて変わってきているのですね。32回目となる2020年の東京大会では、どんな歴史が刻まれるのでしょうか。

さて、本号では「第58回日本呼吸器学会学術講演会」「真菌症フォーラム第24回学術集会」をご紹介いただきます。ぜひご覧ください。

目次
「第58回日本呼吸器学会学術講演会」2018年4月27日(金)~29日(日)
高齢者肺炎における地域包括ケアシステム
「真菌症フォーラム第24回学術集会」2018年5月12日(土)

学会・研究会開催のお知らせ

第58回日本呼吸器学会学術講演会

会  期 2018年4月27日(金)~29日(日)
会  長 平田一人
(大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器内科学教授)
会  場 大阪国際会議場・リーガロイヤルホテル大阪(大阪府)

今回のテーマは「―呼吸器病学― 今日までの軌跡と確かなる未来予想図」です。生活習慣の変化や社会の高齢化が進んだ今日の日本においては、呼吸器疾患診療の重要性が益々高まっています。アレルギー疾患の増加に伴い気管支喘息の有病率は高まり、喫煙が関連する慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺癌においても、その重要度が増しています。さらに、肺炎は高齢者に致死的となりうる疾患で、COPD、肺癌、肺炎による死亡を併せると、臓器別では呼吸器疾患が日本人死因の第一位となっています。この呼吸器疾患が注目される時代に、呼吸器病学は日々進化を遂げ、温故知新の精神で、20世紀から現在まで築いた先人の経験、叡智を理解し、現在から22世紀にも継代、発展していく必要があります。
本学術講演会は、呼吸器病学の今日までの軌跡を振り返り、それを継ぐ次世代に伝え、継続的な発展を確かなものとし、加えて、最新の研究成果にも触れる機会となるよう企画しました。皆様のご参加をお待ちしております。

ピックアップ
高齢者肺炎における地域包括ケアシステム

Pharma Medica Vol.35 No.8, 41-45, 2017
蝶名林直彦 ほか

肺炎の罹患率の高い高齢者に対する診療の規範として、すでに日本呼吸器学会が作成してきた市中肺炎(community-acquired pneumonia;CAP)や院内肺炎(hospital-acquired pneumonia;HAP)に対する診療ガイドラインが果たす役割は必ずしも十分ではなく、それは、高齢者は病院と在宅の中間的存在である介護施設などの医療関連施設に入所していることもあり、また高齢者肺炎はCAPとHAPの両方の特徴をもち、若年者とは異なる予後を示してきたからである。
そのような背景から、介護保険や国民皆保険などわが国に特徴的な医療制度を考慮し、介護(nursing)を加えた医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare-associated pneumonia;NHCAP)を対象としたガイドラインが作成されたわけである。まさにこれは、本テーマである地域包括ケアシステムという場において対応すべきであるという概念から出発したガイドラインであり、ときに重篤となり人工呼吸に至るものから軽症例まで重症度スペクトラムが広い肺炎に対し、高齢化の進むわが国において時宜を得たものである。

記事を読む

学会・研究会開催のお知らせ

真菌症フォーラム第24回学術集会

会  期 2018年5月12日(土)
会  長 岡 慎一
(国立研究開発法人国立国際医療研究センター
エイズ治療・研究開発センター センター長)
会  場 コングレスクエア日本橋(東京都)

このたび、第24回の真菌症フォーラムを主催させていただくことになりました。このフォーラムは、基礎・臨床で深在性真菌症を専門とする先生方が年1回集まり、熱心に討議する会です。
今回のテーマは、「免疫不全患者の深在性真菌症」にしたいと思います。近年では、免疫不全はエイズ患者に限らず、免疫抑制剤や生物製剤などの医療の進歩に伴う医原性免疫不全も大きな問題となっており、今後ますます深在性真菌症に対する基礎および臨床研究の重要性が増してくると考えております。例えば、エイズ患者では、Endogenous Infectionと考えられていたPneumocystis jirovecii pneumoniaが、腎移植患者の外来で頻回にOutbreakを起こし疾患概念を変えなければならなくなっています。
その他にも、迅速診断法の開発や薬剤耐性菌の出現・増加の問題、患者の高齢化に伴うNTM+アスペルギルス症の増加など多くの話題にあふれています。今回も、是非、例年通り内容の深い、参加して良かったと思われる会にしていきたいと思います。積極的なご参加よろしくお願いいたします。

学会カレンダー

M-Reviewサイトアドバイザーの先生方よりご紹介いただいた注目の学会・研究会などをご紹介します。
※名前をクリックすると、M-Reviewに掲載されている先生の記事を読むことができます。

会期 学会名/会長 主会場
4/12~4/15 74 日本放射線技術学会総会学術大会(JRC2018)
錦成郎
神奈川
パシフィコ横浜
4/12~4/15 77 日本医学放射線学会総会
今井裕
神奈川
パシフィコ横浜
4/12~4/15 115 日本医学物理学会学術大会
小口宏
神奈川
パシフィコ横浜
4/13~4/14 55 日本臨床分子医学会学術集会
島野仁
京都
みやこメッセ
4/26 27 お茶の水腎不全懇話会
富野康日己
東京
損保会館
4/26~4/27 61 日本手外科学会学術集会
稲垣克記
東京
京王プラザホテル
4/26~4/28 62 日本リウマチ学会総会・学術集会
齋藤知行
東京
東京国際フォーラム
4/26~4/28 91 日本内分泌学会学術総会
中里雅光
宮崎
フェニックス・シーガイア・リゾート
4/29~4/30 20 日本在宅医学会 第20回記念大会
川越正平
東京
グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール

Editor's eye

玄鳥至(つばめきたる)。
七十二候の一つで、2018年は4月5~9日。
ツバメが南国から海を渡ってくる季節になりました。
ツバメの巣がある店は繁盛する、農作物の害虫を食べてくれるので農家に幸運をもたらすなど、ツバメが巣を作ると縁起が良いという言い伝えは様々あります。
しかし、いくつかの調査でツバメが減少しているという結果が報告されています。
巣作りしにくい西洋風家屋の増加や、里山や農耕地の減少によるエサの減少など、巣作り・子育てしやすい環境が減ってきていることには、私たち人間の生活と深い関わりがあるようです。 また、都市で巣を落とす人は農村の7倍いるそうで、全国の市街地でツバメの子育てが困難な状況が報告されています。ツバメは1回の繁殖で巣立つひな数が4羽以下になると将来的に生息数が減少する可能性が高まることが示唆されていますが、都市部では平均約3.9羽と4羽を切っています(2013-2015年)。
日本における少子化問題は、人間に限った話ではないようです。

編集部I
  • このメールは「学会アイ」に登録されているM-Square会員の方にお送りしています。
  • このメールは送信専用メールアドレスから配信しています。このままご返信いただいてもお答えできませんのでご了承ください。
  • 「学会アイ」配信先の変更は、メールアドレス変更フォームからお願いします。
  • 内容・記事に対するお問い合わせは、お問い合わせフォームからご連絡ください。
  • メールマガジン配信・停止の設定は、こちらより行ってください。
Copyright(c) 2012-2018 Medical Review Co., Ltd. All Rights Reserved.