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アンチエイジングからカルシウム拮抗薬を考える

カルシウム拮抗薬のpleiotropic effect

谷口正弥伊藤正明

Anti-aging Science Vol.3 No.1, 19-24, 2011

はじめに
 カルシウム拮抗薬(CCB)は,細胞外Ca2+ の流入に関わる電位依存性Ca2+ チャネルを阻害することにより降圧効果を発揮する.電位依存性Ca2+ チャネルはL,N,P,Q,R,T 型の6 種のサブクラスに分類されるが,多くのCCB が作用するのはL 型Ca2+ チャネルである.
 正常な血管平滑筋収縮は細胞質Ca2+ 濃度によって調節されている.細胞質Ca2+ 濃度が上昇すると,Ca2+はカルモジュリンと結合し,活性化されたミオシン軽鎖キナーゼがミオシン軽鎖をリン酸化する.このリン酸化によりミオシンとアクチンの架橋回転(クロスブリッジサイクリング)が生じ,収縮が惹起される.血管平滑筋細胞内のCa2+ はCa2+ チャネルを介して流入するため,CCBによりL 型Ca2+ チャネルが阻害されると,細胞内Ca2+ 濃度が低下し,血管は弛緩する.CCB は血管収縮にとって最も重要なCa2+ チャネルを阻害するため,降圧の有効性が高く,かつ臓器血流が保たれる.そのため,高齢者や臓器障害合併例でもよい適応となり,現在多くの症例で使用されている.
 降圧薬の有する臓器保護効果には降圧依存性の部分と,非依存性の部分があり,後者は多面的効果(pleiotropic effect)と呼ばれる.レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬とは異なり,CCB のCa2+ チャネル阻害作用は血管平滑筋に特異的な作用であるため,RA 系阻害薬に比し,多面的効果には乏しいと考えられてきた.しかし近年,降圧作用とは独立した抗動脈硬化作用や,ある種のCCB に腎保護作用を認めることが臨床試験や基礎実験にて立証されてきた.本稿ではCCB の多面的効果に焦点をあてて概説する.

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