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バイオメディカルフォーラム

第21回 (シンポジウム)急性期DIC診断基準による敗血症性DICと臓器不全および各種敗血症関連因子との関連性

阪本雄一郎益子邦洋小幡徹宮庄拓横田裕行

バイオメディカル Vol.21, 14-18, 2011

要旨
【はじめに】2005年に日本救急医学会より新たなDICの診断基準である急性期DIC診断基準が呈示され,その有用性が報告されている。また,凝固と炎症のクロストークが報告されている。
【対象と方法】敗血症性ショック41例を対象として急性期DIC診断基準によるDIC症例,非DIC症例に分け各種敗血症関連因子との関連を比較した。
【結 果】凝固異常の指標であるprotein CはDIC症例において有意に低く,サイトカインはIL-7,IL-5がDIC症例で有意に低かった。
【まとめ】急性期DIC診断基準は主に凝固異常を反映していると考えられた。

キーワード
急性期DIC診断基準,敗血症,DIC(disseminated intravascular coagulation),サイトカイン,HMGB1

はじめに

 従来のDIC概念は,全身性の凝固線溶反応異常であり,播種性血管内凝固に起因する症候群として定義されてきた。この病態を大きく2つに分けると,1つは,血小板や凝固因子が減少した際に生じる消費性凝固障害(consumption coagulopathy)であり,主な症状は出血症状である。もう1つの病態は血小板やフィブリンによる微小血栓によって生じる末梢循環であり,主な症状は虚血性臓器障害(ischemic organ dysfunction)である。これに対して近年報告されている新しいDIC概念は,従来の全身性凝固線溶反応異常から全身性凝固炎症反応異常に変わったと考えられる。つまり従来から考えられてきた消費性凝固障害,虚血性微小循環障害の病態に加え,炎症性微小循環障害の病態を加えた概念である。また凝固と炎症が非常に密接に関連していることで,いわゆる凝固と炎症のクロストークが敗血症の病態において極めて重要であると考えられる。

対象・方法

 敗血症患者42例を対象とし,日本救急医学会急性期DIC診断基準1)によってDICと診断された群をDIC群,診断基準に当てはまらなかった症例を非DIC群と分けて敗血症関連因子であるhigh mobility group box protein 1(HMGB 1),plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1),protein Cおよび内因性カンナビノイドであるN-arachidonoylethano lamine(AEA),2-arachidonoyl glycerol(2-AG)を測定するとともにMultiplex suspension array system(Bio-PlexTM)を用いて17種類のサイトカイン値を測定し,急性期DIC診断基準が炎症の異常と相関しているのか,凝固の異常とのみ相関しているのか,などを検討した。統計学的解析は,t検定を用いてp値0.05未満を有意差ありと判定した。

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