原著
当院における末梢動脈疾患とサルコペニアの関連性
日本サルコペニア・フレイル学会誌 Vol.5 No.1, 65-72, 2021
[目的]
末梢動脈疾患(以下PAD)におけるサルコペニアの合併率を調査し,サルコペニアへの影響因子を検討すること。
[方法]
Fontaine分類Ⅱ度の男性PAD患者56名を対象とし,サルコペニア診療ガイドラインを参考に骨格筋量と握力が低下したものをサルコペニア(以下S群),それ以外のものを非サルコペニア(以下NS群)とし,サルコペニアの合併率を調査した。また,対象をS群とNS群に分類し,患者属性,膝伸展筋力,片脚立位時間,歩行障害質問票を比較検討した。2群間で有意な傾向を認めた項目を独立変数とし,サルコペニアを従属変数とする二項ロジスティック回帰分析を行った。
[結果]
サルコペニアはPAD全体の25.0%,高齢者の29.5%に認めた。2群間において年齢,BMI,膝伸展筋力,片脚立位時間,喫煙で有意な傾向を示し,BMIと喫煙が有意にかかわる変数として選択された。
[結論]
PADは一般高齢者よりもサルコペニアが多く,BMIと喫煙がサルコペニアへの影響因子としての可能性が示唆された。
「KEY WORDS」末梢動脈疾患,サルコペニア,BMI,喫煙
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。