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Round Table Discussion

消化器癌におけるがん免疫療法の進展

土井俊彦室圭山口研成和田尚

がん免疫療法 Cancer Immunotherapy Vol.4 No.1, 10-17, 2020

土井 現在,消化器癌領域では免疫チェックポイント阻害剤(immune checkpoint inhibitor:ICI)である抗PD-1(programmed cell death-1)抗体が2剤承認されています.ニボルマブは「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」,ペムブロリズマブは「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」に対して承認され,消化器癌領域においてもICIの使用機会が増えてきました.そこで本座談会では「消化器癌におけるがん免疫療法の進展」をテーマに,本領域を牽引されている先生方とディスカッションしていきたいと思います.
はじめに,MSI(microsatellite instability)の定義や臨床的特徴,その原因などについて室先生にお伺いします.
 DNAのうち1~数塩基の塩基配列が繰り返されているマイクロサテライトでは,DNA複製の際に繰り返し配列の回数に増減の変化が生じやすくなります.たとえば1塩基配列でアデニン(A)を10回繰り返す配列が9回に変化した状態や,2塩基配列でシトシン(C)アデニン(A)からなる塩基CAを6回繰り返す配列が7回に変化した状態となった場合(図1)1),通常であればDNAミスマッチ修復(mismatch repair:MMR)機能によって修復されますが,MMR機能が欠損していると修復されずにマイクロサテライトが通常と異なる反復回数を示すMSIとなります.こうしてDNAが未修復のまま複製・蓄積され,がん化した細胞ではマイクロサテライトが通常とは異なり高頻度の反復回数を示しているため,MSI-high(MSI-H)固形がんと呼称されます.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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