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美容皮膚科に必要な外科的Option & Technique

第17回 美容医療診療指針 令和元年度厚生労働科学特別研究事業に関して

山下理絵

Bella Pelle Vol.6 No.1, 60-61, 2021

美容医療の根拠に基づく適切かつ標準的医療(evidence-based medicine;EBM)のガイドラインは,今までにわが国において作成されたことはなかった.美容医療の多くは,エビデンスがない.EBMにおいては臨床経験ではなく論文が重視されるが,エビデンスのある論文を作成することは非常に難しい.筆者もボツリヌス毒素,多血小板血漿などの臨床研究論文を提出したことがあるが,最終的には「今までどこでもやっていないので」と却下された経験がある.2018年から臨床研究は,実地計画,研究計画などの書類を作成し,認定臨床研究審査委員会の審査を受ける必要があり,ますますハードルが上がった.
さて,そのような状況のなかで,今回,美容医療を安全に行うための診療指針を,美容医療にかかわる5学会,日本美容外科学会(JSAPS)(日本形成外科学会〔JSPRS〕),日本美容皮膚科学会(JSAD)(日本皮膚科学会〔JDA〕),日本美容外科学会(JSAS),公益社団法人日本美容医療協会(JAAM)が,合同で作成した(図1)1)
今回,非手術療法の診療指針を作成,顔面若返り治療に関して6項目,乳房増大術2項目,計8項目について,基礎知識の解説およびclinical question(CQ)を設定,文献検索を行い現状の推奨度を区分けし,さらにエビデンスレベルの文献数を記載した.推奨度とエビデンスレベルについては図2,3のとおりである.
今回,筆者も作成委員としてかかわった,第1章のポイントを一部供覧する(図4).その他の章については,美容皮膚科にも有益な情報であるため,2020年に発行された『日本美容外科学会会報』Vol.42特別号(全日本病院出版会)を一読しておくとよい.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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