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日本内分泌外科学会

(検査・診断)小児・若年者甲状腺癌の細胞診・組織診

第27回日本内分泌外科学会総会 会期:2015年5月28~29日 会場:コラッセふくしま

坂本穆彦

Thyroid Cancer Explore Vol.2 No.1, 66-68, 2016

「はじめに」今日,小児・若年者甲状腺癌の細胞診・組織診に,かつてなかったほどの注目が集まることがあるのは,2011年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故による小児甲状腺癌の発生増加が,危惧されることになったためと思われる。それまで特に大きな関心を呼ばなかったのは,"小児甲状腺癌の頻度は50万人ないし100万人に1人の発生"と説明されてきたことからもわかるように,きわめて稀な疾患とされてきた。この認識が変化したのは,チェルノブイリ原発事故後の小児甲状腺癌の多発がきっかけであった。現在のところ,原発事故による周辺住民に生じる放射線誘発癌として国際的に認定されているのは放射性ヨウ素による小児甲状腺癌のみである1)2)。チェルノブイリ原発事故からは多くの医学情報がもたらされた。さらに,直接現地での活動に従事した医療従事者もおられたが,わが国総体にとってはなお対岸の火事的受け止めが主であった。しかし,福島原発事故発生によって状況は一変し,小児甲状腺癌への対応がわが国でも現実の課題となった。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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