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State of the art 腫瘍免疫研究の最前線

腸内細菌と大腸がん

奥村慎太郎長山聡坂井義治原英二

大腸がんperspective Vol.4 No.2, 39-44, 2019

ヒトの腸内には500~1,000種類からなる約100兆個の細菌が存在しており,腸内細菌叢という一種の生態系が形成されている。生活習慣や生活環境,さらには加齢などさまざまな要因により腸内細菌叢の構成比率および全体量が変化することが知られており,近年,腸内細菌叢の変化がさまざまな疾患の発症に関与していることが明らかになってきている。このため,疾患原因を解明するうえで腸内細菌叢の解析が重要な要素の一つになりつつある。なかでも発がんとの関係が指摘されている腸内細菌については,宿主の免疫監視機構に影響するだけでなく,宿主のゲノムDNAに損傷を与えるなどして直接的に発がんを促進している可能性があり,注目を集めている。本稿では,大腸がん患者の腸内細菌叢の特徴,そして腸内細菌による発がんメカニズムについて概説する。
「KEY WORDS」腸内細菌,腸内細菌叢解析,大腸がん

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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