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Theme 新しいがん治療のState of the Art State of the art reviews and future perspectives

Ⅲ.分子標的治療 KRAS阻害薬の新しい展開

衣斐寛倫

がん分子標的治療 Vol.20 No.1, 64-68, 2022

KRAS阻害薬の開発は長年困難と考えられてきたが,KRAS蛋白に薬剤の結合が可能なポケットが発見されたことをきっかけに,創薬が急速に進んでいる。なかでも,KRAS G12Cに対する変異KRAS特異的阻害薬ソトラシブは,肺がんにおいて有効性を示し保険適用されている。一方で,KRAS G12C阻害薬の奏効率は,臓器によって異なることに加え,最も高い有効性を示した肺がんにおいても奏効率は40%前後であることから,KRAS変異腫瘍の分子生物学的理解に基づく治療の最適化が求められている。また,KRAS G12C阻害薬の臨床試験などから,獲得耐性の原因も明らかとなりつつある。KRAS G12C阻害薬の成功を踏まえ,より頻度の高いG12Dなど他の変異に対する特異的阻害薬の開発も進められている。
「KEY WORDS」KRAS G12C阻害薬,フィードバック機構,SwitchⅡポケット,Tri-complex inhibitor

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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