Theme 新しいドラッグデリバリーシステムによる抗悪性腫瘍薬 Pharmacogenomics and biomarker
Microbiomeと免疫チェックポイント阻害薬
がん分子標的治療 Vol.19 No.2, 81-85, 2022
世界のがん罹患率の16%以上が感染症によるものとされている1)。近年は,次世代シーケンサーの登場により,われわれは腫瘍や宿主のゲノムだけでなく,生体内に存在する膨大な数の微生物ゲノムも研究できるようになり,その結果,常在微生物群とがんとの関連性が示唆されている。最近では,がん免疫療法の反応を調節する消化管(腸)内微生物群の役割2)-8),抗生物質の投与が免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果を鈍らせること,また,糞便微生物移植はICI耐性悪性黒色腫の反応性を回復させる可能性があることなどが報告されている9)。このように,近年の研究成果により,腸内の生態系ががん治療における免疫反応の制御や免疫療法の臨床効果に影響を与えることが認知され,腸内細菌叢の異常を特定するための診断ツールや,微生物叢に基づく治療介入の将来性について議論されるようになってきた。
「KEY WORDS」免疫チェックポイント阻害薬,微生物叢,がん免疫治療,免疫反応
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。