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Theme 固形がんに対する免疫療法と分子標的治療の進歩 Cancer biology and new seeds

固形がん免疫療法におけるLAG3,TIGIT標的の可能性

工藤千恵

がん分子標的治療 Vol.18 No.2, 80-86, 2020

免疫システムには,通常,自己抗原に対する免疫応答にブレーキを掛けて組織などが損傷しないよう保護する寛容機構が備わっており,近年,これを制御する「免疫チェックポイント分子」が次々と同定されてきた。自己創成されたがんに抵抗する免疫応答をうまく誘導するため,これらの分子機能を阻害する抗体薬が多数臨床開発され,進行がんに対しても高い有効性が確認されている。しかし,その臨床効果は一部の患者に限定的である。これは,がん患者ではすでに免疫機能が疲弊・不全化している場合が多いためであり,今後のがん免疫治療では,この抜本的な建て直しが奏効率アップの鍵となる。LAG3とTIGITは,免疫疲弊を代表する分子で,次世代の治療標的として注目されている。本稿では,免疫とがんの両側面からLAG3とTIGITに関する基盤的な情報と治療薬開発動向を総説し,今後のがん治療において両分子を標的とする意義と可能性について論じる。
「KEY WORDS」がん免疫,免疫チェックポイント,LAG3,TIGIT,抗体医薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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