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マクロファージチェックポイント阻害
がん分子標的治療 Vol.18 No.1, 111-113, 2020
生体を外部からの異物の侵入や腫瘍から守る免疫監視機構としては,T細胞,natural killer(NK)細胞などリンパ球系が主要なエフェクター細胞として働いているが,その監視機構を制御するメカニズムには,免疫応答を活性化するアクセルと抑制するブレーキが存在する。特に抑制性のブレーキは「免疫チェックポイント(immune checkpoint)」として機能し,過剰な炎症や自己への免疫応答を抑制している。T細胞における免疫チェックポイントとしては,programmed death-1(PD-1)やcytotoxic T-lymphocyteantigen4(CTLA-4)が知られているが,これらの抑制性受容体に,リガンドが結合すると,T細胞の増殖や細胞傷害活性が抑制される。がんは,この機構を利用して,宿主からの免疫応答から逃れており,免疫チェックポイント阻害薬は,このブレーキを遮断することによって,T細胞の腫瘍に対する免疫応答を高める治療法である。すでに,PD-1阻害薬,CTLA-4阻害薬は実地臨床に導入され,高い臨床効果を上げている。
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