Theme 新しい抗体薬;ADC
ADC開発におけるリンカー設計の意義
がん分子標的治療 Vol.17 No.2, 11-15, 2019
抗体-薬物複合体(ADC)において,抗体と低分子化合物(薬物)をつなぐリンカーは重要な役割を果たす。すなわち,リンカーは抗体への低分子化合物の付加数や位置を制御し,さらには搭載薬物の放出機構を決定する。本稿では,最初に,内在型ADCに汎用されるカテプシン切断型リンカーについて最近の知見を述べる。次に,間質が豊富に存在する固形がんに対して有効な外在型ADCのリンカー設計について記載する。さらに,均一なADCを作製することの意義と糖鎖部位付加均一ADC合成について述べる。糖鎖切断酵素ENGaseとその改変体を用いて,Fc領域に普遍的に存在するN-結合型糖鎖に低分子化合物を付加し,糖鎖構造も含めての均一なADCを合成する戦略についてまとめた。
「KEY WORDS」抗体−薬物複合体(ADC),リンカー,がん間質ターゲティング(CAST)療法,糖鎖,endo-β-N-acetylglucosaminidase (ENGase)
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