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Theme 新しいチロシンキナーゼ阻害薬

各臓器がんに対する新しいチロシンキナーゼ阻害薬 造血器腫瘍(CML,CLL,その他)

谷口康博松村到

がん分子標的治療 Vol.14 No.3, 16-21, 2016

さまざまながん種でdriver oncogene が発見され,その変異であるdriver mutationが治療標的として重要視されている。Driver mutation に伴うチロシンキナーゼの恒常的活性化に対する阻害薬(TKI)は各臓器がんで臨床応用され,造血器腫瘍においても開発が進んでいる。
慢性骨髄性白血病(CML)に対し用いられるイマチニブ(IM)は最も早く臨床応用されたTKIである。そのほか,B細胞性リンパ腫におけるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK),骨髄増殖性腫瘍(MPN)におけるJAK2,急性骨髄性白血病(AML)におけるFMS様チロシンキナーゼ-3(FLT3)など,さまざまなチロシンキナーゼを治療標的に多くの薬剤が開発され,すでに一部の薬剤は臨床応用されている。チロシンキナーゼによる治療は作用機序がこれまでの抗がん剤と異なることから,劇的な治療効果が得られる可能性や,副作用が軽減できる可能性があり,今後重要な治療選択肢となっていくことが期待される。
現在開発中のものも含めた造血器腫瘍におけるTKIについて概説する。
「KEY WORDS」チロシンキナーゼ阻害薬(TKI),ドライバー遺伝子変異,BCR-ABL,ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK),JAK2,FLT3

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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