<< 一覧に戻る

Cancer biology and new seeds

BiTE抗体の臨床開発の現状

Recent progress of BiTE antibody

加藤光次

がん分子標的治療 Vol.14 No.1, 98-103, 2016

「SUMMARY」ここ数年のがん免疫療法の展開は,目を見張るものがある。免疫チェックポイント阻害薬,キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T細胞)やbi-specific T-cell engager(BiTE)の臨床開発は,ここ数年で大きく飛躍し,がんの治療体系自体を大きく変える可能性を秘めている。そのなかでも,造血器腫瘍,特にリンパ系腫瘍での治療効果は著しく,多くの臨床試験が欧米,日本で進行中である。CD19とCD3を標的とするBiTEであるblinatumomabは,2014年12月に米国で迅速認可された。難治性急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対するblinatumomabの高い治療効果は,初回寛解後療法など早期に用いる方向で検討が進んでおり,ALLの標準治療を変えることが予想される。今後,これら華々しい成果を上げつつある免疫療法を,がん治療戦略のなかでどのように棲み分けていくか,特徴的で重篤な副作用対策も考慮しながら,十分に検証していかねばならない。
「KEY WORDS」bi-specific T-cell engager,blinatumomab,CD19,急性リンパ芽球性白血病,非ホジキンリンパ腫

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る