Theme 免疫療法の今後の発展と課題
がんワクチンと免疫チェックポイント阻害薬のコンセプトの違い
The difference in the concept of cancer vaccines and immune checkpoint inhibitors
がん分子標的治療 Vol.13 No.4, 29-33, 2015
「SUMMARY」がんワクチンは特定の抗原を標的としてがん細胞を傷害する特異的免疫反応を増強させるのに対して,免疫チェックポイント阻害薬は免疫抑制反応を遮断することで不特定の種々の抗原に対して誘導されている特異的免疫応答を増強することが特徴である。がんワクチン療法と免疫チェックポイント制御のコンセプトは異なるものの,最終的に抗腫瘍免疫の主役となるのは細胞傷害性Tリンパ球(CTL)による特異的免疫である。今後のがんワクチンの開発においては適切な抗原の選択が重要で,免疫原性の高いneoantigenは注目すべき標的の1つである。
「はじめに」がん免疫療法は手術療法,化学療法,放射線療法に次ぐ第4の治療法として注目されている。2010年,ホルモン療法抵抗性の前立腺がん患者に対して樹状細胞ワクチンとして作用するsipuleucel-Tが米国食品医薬品局(FDA)に承認され,その後,免疫チェックポイント阻害薬が悪性黒色腫や肺がんに対して奏効することが示され相次いでFDAに承認された。
「KEY WORDS」がんワクチン,免疫チェックポイント阻害薬,ネオアンチゲン
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