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特集 アルコール依存症治療に携わるさまざまな職種とその役割

4.アルコール依存症治療における栄養士の役割と貢献

水上由紀

Frontiers in Alcoholism Vol.11 No.1, 23-27, 2023

栄養士は健常者から傷病者の健康の維持・増進にかかわるため,予防(飲酒教育)から回復支援(食生活支援)に貢献することが可能である。食事には,栄養補給以外にもさまざまな役割がある。欠食など一定の間隔で食事ができないと1日の生活リズムが乱れ,服薬忘れや昼夜逆転などの問題が生じる。hyper palatable foodと呼ばれる砂糖,塩,油脂は,脳の報酬系に作用し,過剰摂取の機序はアルコールの過剰摂取機序と同じであることが報告されている。食習慣の改善方法と依存症治療の方法は相互に利用できると考えられる。栄養相談は,調理担当者が同席する機会が多いため,本人が否認しても家族から情報を得ることが可能である。依存症専門病院の初診患者の既往歴調査では,全員に一般病院の受診歴があり,そのうちの3分の1には生活習慣病があった。栄養相談で早期発見し,専門治療にアクセスできれば重症化予防に貢献できる。
「KEY WORDS」嗜好品,生活習慣病,hyper palatable food,栄養相談,AUDIT

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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