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Expert Message 漢方でウイメンズヘルス

第2回 女性の頻尿・尿漏れ

関口由紀

WHITE Vol.6 No.1, 59-62, 2018

過活動膀胱(over active bladder:OAB)症候群は,尿意切迫感を必須症状とする症候群である.尿意切迫感は,それまで何でもなかったのに突然トイレに行きたくなり,我慢することが難しいという感覚である.この感覚があるために,多くの患者は頻尿になっている.
国際的には自分が困ったら頻尿だが1),一般的に昼間頻尿は日中に8回以上排尿すること,夜間頻尿は夜中に1回以上排尿するために起きることと定義されることが多い.またその半数は,突然の強い尿意のためにトイレまで我慢できず,尿が漏れてしまう.この尿失禁のことを切迫性尿失禁(urgency urinary incontinence:UUI)と呼び,罹患率は40歳以上の日本人の有病率12.4%とされている.
OABのうち,脳血管障害等の脳や脊椎に問題があり,大脳による膀胱の異常収縮の抑制が効かなくなったことが原因で起こる場合を「神経因性過活動膀胱」といい,出産等により膀胱や子宮,直腸を支えている骨盤底の損傷や弛緩により,膀胱の支持組織が不安定になることが原因で起こる場合を「非神経因性過活動膀胱」と呼ぶ.神経因性過活動膀胱のほうが重症度が高い深刻な場合が多いが,患者数は圧倒的に非神経因性過活動膀胱のほうが多い.また加齢によるものや,原因不明の患者も多いのが現状である.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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