特集 Urogynecology
2 女性医学に必要な下部尿路症状について
WHITE Vol.3 No.2, 15-21, 2015
「はじめに」わが国は2014年に65歳以上の人口が25.9%を超える超高齢社会となった.中高年女性の健康管理を行う,いわゆる女性医学の中で,排尿,排便といった人間の根源に関わる機能の障害は,著しく生活の質(quality of life;QOL)を落とすQOL疾患としての認識が必要となる.女性下部尿路症状(female lower urinary tract symptom;FLUTS)は更年期女性にしばしば観察される.下部尿路である尿道,膀胱は骨盤底にハンモック状に支持されて尿禁制を保っている.性差として女性は妊娠,分娩という大きなイベントを経験し,それによって尿禁制機構はダメージを受ける.また尿道,外陰,腟にはエストロゲン受容体が豊富に存在し,更年期以降の泌尿生殖器の萎縮に伴って尿禁制に大きな影響を受けFLUTSが出現する.FLUTSには尿失禁,頻尿などの蓄尿症状に加えて排尿症状,排尿後症状を含めた障害であり,女性医学を取り扱う医師は本症状を有する患者を局所のみならず全身ケアの一環として治療する必要がある.
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