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臨床セミナー これからの心不全バイオマーカー

第8回 心疾患における酸化ストレスマーカー:終末糖化産物(AGEs)を中心に

鈴木聡竹石恭知

Fluid Management Renaissance Vol.3 No.2, 70-73, 2013

「はじめに」 高血圧, 糖尿病, 脂質異常症, 喫煙は, 冠動脈疾患の危険因子であると同時に心不全の発症や増悪にも強く関連することが明らかになった. 塩分摂取量の多い日本人の古くからの食習慣に加えて欧米化した食生活がこれら基礎疾患の有病率を高めており, なかでも糖尿病患者は2007年度の糖尿病実態調査から, 耐糖能異常を含む糖尿病予備軍も含めると成人の約20%にあたる2,210万人に及ぶと推定されている. この数値は厚生労働省による1997年の実態調査開始以降, 増加の一途を辿り, 10年間でおよそ840万人, 2006年度からの1年間では340万人と急激な増加を示している. 糖尿病は心大血管における動脈硬化の形成を促進し, 実際に糖尿病患者の40~65%に心筋梗塞や脳血管疾患, 下肢の閉塞性動脈硬化症を合併し患者の生命を脅かす. 高齢化社会を迎えているわが国においては, 糖尿病に伴う動脈硬化性疾患の発症抑制が重要である. 「AGEsとRAGE」 糖尿病の治療では, 発症初期からの厳格な血糖コントロールがきわめて重要である.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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